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知人の葬式に行った。 参列者は皆、故人の死を心から悼んでいた。 生前の故人と然程親しくなかったであろう人でさえも、もう二度と戻らない時間を酷く偲んでいた。 「羨ましい」 自分でも驚くほど無意識に、そう呟いていた。 「羨ましい」 溢れ出したその言葉をゆっくりと心で繰り返す。 そして私はふと気づいた。 「人間は死んだ時にいちばん愛される」のだと。 そして、死んだ者は自分に向けられたその「人生最大の愛」を、どんなに頑張っても感じ取ることができないのだと。 棺の中で溢れんばかりの花に埋もれる彼を見て、いっそ私も死んでしまおうかと思った。 いや、それでは私も「人生最大の愛」を逃してあの世へと向かう、普通の死者と何ら変わらない。 私は閃いた。 それなら、私という存在が死んだことにしてしまえば良いのではないか? 死を偽って、自分に向けられた哀悼を影から覗き、密かにその愛を摘み食いできたならば、私も少しは満たされるかもしれない。 私は初めて、人生の中に眩い太陽の光を見たような気がした。
作詞:すふれ
作曲:すふれ
遅すぎる愛を固めた花 その下で眠っても 沈んだ香りの欠片でさえ もう感じることできない 死を擬き、溢した愛の受け皿とならましかば 憂き世に もう居場所のない優しい世界に 埋まって、縋って、思い出より染み付いて 器用に 生きて知ることはない花の香りを 吸いたい、嗅ぎたい、知りたい、浴びたい 愛される人が羨ましい 八方美人の店主も 客に愛でられて上機嫌な その看板猫でさえも 命あるものを恨み尽くして ついに死者をも妬む私は愛の亡者 月夜に 昼が生意気に溢した光を 掬って、注いで、フィルムのように飲み干して 奇妙に 心を惑わす白い大輪を 蕾んで咲きたい、萎んで枯れたい 月が夜を照らしても 下を向き昼を待つ 美しい光溢し 人は愛の価値知らずに生きている 最期に残すはずだったその花の蜜は 甘くて重くて震える手を操って 太陽に見せることのない弓張りの影を 埋めて、絞って、塞いで、隠して、 満たしたつもりで悦に入る
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