関西を拠点に活動するシンガーソングライター、カミカワユウナの無二の歌声

関西を拠点に活動するシンガーソングライター、カミカワユウナの無二の歌声

2025/01/07

進化を続けるカミカワユウナが「Cage」で見せた実力

大阪出身のシンガーソングライター・カミカワユウナ。高校時代に弾き語りを始め、2020年8月からライブ活動を本格的にスタートさせている。作品のアートワークも自ら行うなど、クリエイターとしてもその実力を発揮している。

2021年には初音源となる、弾き語りのミディアムチューン「ブルーサマーナイツ」を発表。2022年には3曲入りのEP『回転軸』をリリースしている。『回転軸』の収録曲では、ギターをメインとしながらもバンドアレンジに挑戦。ストリングスのようなアプローチも取り入れるなど、アレンジ面で大きな成長を見せ、楽曲の幅も広がっている。

2024年12月現在、シングルとEP合わせて9タイトルをリリースしている。現在、関西地方を中心に精力的に活動を展開中の注目アーティストだ。

同じメロディーをオクターブ上で歌うなど引き出しの多さが魅力

 今回紹介する「Cage」は2024年12月1日に発表された最新シングルだ。音数の少ない打ち込みのトラックをメインに進行するAメロ、そしてバンドアンサンブルのダイナミズムで聴かせるサビと、メリハリあるアレンジに、彼女の進化と実力を感じるミディアムチューンである。アンビエントのようなバックトラックと、昨今のトレンドであるメロウなヒップホップやR&Bを彷彿させる、どこか淡々と敷いたメロディーが特徴の最初のブロックで、カミカワはリズムと発音を大事にしながら、メロに歌を置きにいくようなアプローチを見せている。

しかしながら、母音の抜き方や子音の発音のニュアンスで淡々としたメロディーにしっかりと表情をつけているあたりに、ボーカリストとして天賦の才が垣間見える。リズムの刻み方や、独特のラ行の発音が、楽曲のフックになっている。また自身が大きくブレスを吸い込む音を入れることで、見事に、ダイナミックなサビへつなげている。冒頭の歌い出しでも吐息のようなブレスを披露しているが、サビ前ではブレスをバースにするなど、見事なボーカルコントロールを見せる。

1番と2番では同じメロディーをオクターブを変えて歌うなど、表現者としての引き出しもじつに多い。中低音、高音とそれぞれ異なる魅力をしっかり響かせているところもすごい。

歌い手として、そして表現者として、これからどのような幅を見せてくれるのか楽しみなシンガーソングライターだ。

文:伊藤亜希