3月1日に東京新宿歌舞伎町で開催されるサーキット『見放題東京2025』。そのオープニングアクト出演権をかけた『見放題東京2025 オーディションライブ』が、2月5日下北沢近道で開催された。この日は多数エントリーされた音源審査を勝ち抜いた8組が参戦し、来場者&審査員投票により優勝者が決定。本稿では、Mitei、Shawoo、otona ni nattemo、SAMMOJi、Lucky Age、スランプガール、ミーマイナー、月追う彼方(出演順)による最終決戦の模様をレポートする。
トッパーとして会場を盛り上げたMitei(ミテイ)
戦いの幕開けを飾ったのは、東京を拠点に活動する4人組ロックバンド、Miteiだ。緊張感漂うステージ前に集まった多くの観客を前に、爽快なロックナンバー「声」を披露。伸びやかな歌声と艶めくギターの音色、躍動するベースライン、ドライヴ感あふれるドラミングで、心地よいグルーヴを作っていく。「まさかトッパーからこんなに(お客さんが)見てくれるとは思わなくて、とても嬉しい」と、はにかみ気味に感謝を述べる。そして「みんなと一緒に歌いたい」と披露した「アサガオ」では歌い出しからハンドクラップが沸き起こり、サビでは大合唱が。Miteiとフロアのシンパシーが感じられたステージとなった。
setlist
- 声
- 星夜に届く
- アサガオ
結成4か月とは思えないエネルギッシュなステージを披露したShawoo(シャウー)
東京発の3ピースロックバンド、Shawoo。2024年10月の結成からわずか4ヶ月で本オーディションの最終審査に残った彼らは、白いトップスを身にまとい、ギターとベースもホワイトというフレッシュな出で立ちで登場。荘厳なサウンドから痛快なアップチューンとなる「ライムライト」。続く陽気なUSロックを思わせる「うまくいかないなあ」では、オーディエンスが思い思いにハンズアップする。「なにか少しでもうまくいかないことがあったら、大切な人たちやいろんなものが浮かんでくるはず。そのなかに僕らShawooもいれたら」と、観客に心を寄せたメッセージを送る。ラストの「銀の瞼」では、よりエネルギッシュなプレイで聴き手にShawooの音楽を届けた。
setlist
- ライムライト
- うまくいかないなあ
- 銀の瞼
フロアのボルテージを一気に上げた!otona ni nattemo(オトナニナッテモ)
東京渋谷発のロックバンドotona ni nattemo。略してオトナニ。躍動感あるビートの「映画みたいな」「pray」を立て続けに披露し、出だしから場内のボルテージを高めていく。「いつかこういうチャンスが巡ってくると思って、必死に走り続けてきた」と本オーディションへの想いを述べ、「under20」を演奏。一真(Vo./Gt.)とみやけん(Gt./Cho.)の2人がボーカルをとり、全力で叫ぶように歌う姿が印象的だった。アグレッシブなナンバーを連発しオーディエンスのハンドクラップを誘ったオトナニ。音楽を楽しむ姿を体現したエモーショナルなパフォーマンスで会場を魅了した。
setlist
- 映画みたいな
- pray
- under20
- otona
大阪発!SAMMOJi(サンモジ)が自身初のオーディションライブでみせたダイナミズム
本公演が初のオーディションライブ出演となったのは、大阪発のロックバンド、SAMMOJiだ。「Feeling」のダイナミックなサウンドで、のっけから勢いよく突進。シャウト混じりの「声」では、ステージを所狭しと動きまわりながらオーディエンスを鼓舞する。「ライブってめっちゃ楽しいもんだし、みんなそれが伝わっている顔をしている」と顔をほころばせながら観客に率直な気持ちを述べ、メロディアスなイントロから始まる「朝焼け」に突入。ラストの「Blue」でも勢いは止むことはなく、4曲を全力で駆け抜けた。この日、「楽しいことをやりたい。そのためにライブをやっている」という言葉を残したSAMMOJiは、オーディエンスと楽しさを分かち合った夜になったことだろう。
setlist
- Feeling
- 声
- 朝焼け
- Blue
パワフルなステージでフロアにしっかり“愛”を届けたLucky Age(ラッキーエイジ)
2024年1月結成、大阪発の4ピースロックバンドLucky Ageは、疾走感あるリズミカルなビートの「世界が滅んでも」でスタート。滑らかなギターの音色が印象的な「再愛」では、ながさわ。(Vo./Gt.)が心の叫びを絞り出すように歌う。「俺が書いている歌は、1人のずっと好きだった女の子に向けて書いている」と言うながさわ。は、自身の曲を「俺の愛のパワー」だと述べた。そんな愛の力を爆発させたのが後半戦。シロマ(Gt.)は激しくかき鳴らしながらステージ前に躍り出てオーディエンスを煽り、藤井(Ba.)はベースを弾きながらヘッドバンキングをかます。ながさわ。は、頭を掻きむしりながらシャウトする。そのパフォーマンスでオーディエンスにしっかりと、自分たちの“愛”を届けた。
setlist
- 世界が滅んでも
- 再愛
- ポンコツの歌
- ラブソングの中の人
フロアが震えるほどの歌声で魅了したスランプガール
東京を拠点に活動する“えもかわいい”男女混合バンド、スランプガール。さとうゆうき(Vo./Gt.)のアカペラからスローに始まったのは「飲み込む氷菓」。フロアが震えるほどのパワフルな歌声が響き、サウンドの加わったポップで軽快なメロディにオーディエンスは自然と縦ノリになる。「今日の出演が決まったときから止まらないこの胸の衝動。全部ぶつけにきた!」という意気込みの後に踊り出すメロディラインの「花の子」を披露。さとうは鬼気迫る面持ちで歌い上げ、スマートに動き回る浪川颯哉(Gt.)と躍動的にリズムをとる小鍋纏(Ba.)が場内の熱を加速させる。ラストの「FLUFFY」でオーディエンスと一丸になってBメロを大合唱すると、場内はあふれる熱気に包まれていった。
setlist
- 飲み込む氷菓
- 花の子
- FLUFFY
新曲バラード「ネイル」も披露したミーマイナー
2024年9月結成の男女ロックユニット、ミーマイナー。美咲(Vo.Gt.)の「盛り上がっていけますか〜!」のかけ声を合図にスタートしたのは「オンリーロンリータウン」。リズミカルなアップチューンに、ステージ前に躍り出てフロアのテンションを引き上げるさすけ(Ba.)。オーディエンスはハンドクラップで応戦する。「私たちが1番音楽を楽しんで帰ります!一緒に楽しんでください!」とオーディエンスを誘った後、哀愁を帯びたポップチューン「ワンルームナイト」を披露。目を合わせ、挑発するかのような満面の笑みを浮かべる美咲とさすけが、すこぶる楽しそうだ。ラストは新曲「ネイル」。全出演バンドの中で唯一のバラードとなったこの曲は、決戦のステージに染み込むように彼らのメロディーの良さを刻んだ。
setlist
- オンリーロンリータウン
- ワンルームナイト
- ネイル
会場を熱狂に包んだ!トリにふさわしい月追う彼方のパフォーマンス
トリは、現在東京を拠点に活動する北九州発の3ピースロックバンド、月追う彼方。メンバーがステージに登場し、ドラムセットを中心に円陣を組んで気合いを入れていると、フロア後方の観客がステージ前に走り寄っていく。ライブが始まる前からテンションが高まるなか、硬派なロックチューン「一寸先は」へ。透明感のあるしほ(Vo./Gt.)のボーカルとかおり(Ba./Cho.)のコーラスの掛け合いが耳をくすぐる。ななみ(Dr./Cho.)は「オーディションなのに、こんなに楽しくていいのかって言うくらい楽しい」と陽気な笑顔をふりまく。ラストの「ハルジオン」では観客が一斉に拳を上げる。熱気で会場全体が躍動する。月追う彼方は、トリにふさわしいパフォーマンスこの日のフィナーレを飾った。
setlist
- 一寸先は
- ラストナイトダイブ
- ハルジオン
東京発のスランプガールがグランプリを獲得!
見事グランプリを獲得したのは、スランプガール。バンド名を読み上げられた瞬間、メンバーは驚きと喜びの声をあげた。大きな拍手に包まれながらステージに上がると、浪川(Gt.)が「頑張ります!」と気勢を上げ、小鍋(Ba.)は「選んでもらってありがとうございます。とにかく全力で、本気でいいライブをするので応援してもらえたら」と感謝を述べた。さとうは終始、満面の笑顔を浮かべながら何度も何度もガッツポーズを繰り返していた。
8組のバンドが、渾身の力を振り絞って勝負に挑み存分に音楽を楽しんでいた。まさに“全員がグランプリ”といえるほど、熱い夜だった。
写真・佐藤 薫/文・橋本恵理子