雨天予報を覆したのはこの新しい力達だった⁉︎ ​​COMING KOBEオーディション通過5組が見せた熱いステージをレポート！

​​5月18日に​​神戸で開催されている日本最大級のチャリティ・イベント​"COMING​ KOBE"（カミコベ）が今年も開催された。今年で阪神淡路大震災から30年となったが、しっかり音楽を通じて、カミコベ開始当初からの思いが語り継がれた日になった。​ 

​​そして今年もこのカミコベ出演を懸けたオーディションが開催され、Battle de eggからParallel FrankとTЯicKY、ライブハウス太陽と虎で行われたオーディションからell、Liver Shot、All I Clacksの5組がカミコベ出演を勝ち獲った。その5組とも熱のこもったライブを見せた結果、午前中は快晴（結局最後まで雨振らず）。思いを繋いだライブをレポートする。​ 

①ell

​​ソロ形態で活動するミュージシャンを対象としたオーディション「ロンリーオンリー2025」から選ばれたell。その甘美でクリアな優しい歌声だけでなく、リハーサルからスタッフやお客さんに笑顔で対応する姿に彼の心の美しさが見てとれる。それはライブが始まっても変わらず、綺麗な歌声を聴かせながら、常に集まったお客さんと優しくコミュニケーションを取り、そんな彼の空気感に安心して、初見であろう後ろの方も含めて手拍子やコールアンドレスポンスが起こっていた。特に『#wannabeloved』で全員で指ハートをするところや、ダンスチューンの『ミッドナイトラブレター』で彼自身もユニークなダンスを披露する場面は、会場に愛しか溢れていなかった。朝イチからそんな空間を作るシンガー、チャリティーイベントにうってつけすぎる。​ 

​​曲中のメッセージやMCには彼自身も辛い悲しいも含めた様々な経験を重ね、それでも人生を踊るように歌い続けてきたことを感じさせる。気分を晴らしてくれるメッセージ性のある歌詞、落ち着いたトラックと相性の良い情熱的なロングトーン、何よりお客さんと共に作り上げる愛に溢れたステージング。途中「名前を覚えて帰ってください！僕の名前はellって言います！」という場面もあったが、最後の『SO FAR GONE』で「全部！」と叫んだ者同士。その名前を呼ぶ日は、また来る。​ 

②All I Clacks

​​多くの関西の実力者が揃った「フクロのネズミ2025」の中から選ばれたAll I Clacks。出演するPORT STAGEには開演前から多くの人が集まる。彼らのバンTを着ている人も多い。本当にオーディション枠か？​ 

​​ライブが始まるとその疑問はさらに深まる。1曲目の『Overriding』から熱気を最高潮にして、元々雨天予報と言われた日を快晴どころか、一足早く夏を持ってくるではないか。「モッシュダイブは禁止だけど、踊るのはOKっしょ！」と何度も会場を揺らすAIC。そこにはPOP PUNKのノリの良さだけでなく、歌モノギターロックが好きなリスナーにも伝わるサウンドの展開の工夫と歌詞の聴き心地の良さもあり、実際に全く別ジャンルのアーティストのグッズを身に付けた人も後方でノって、拳を上げていた。道行く人の足も多く止めていて「そこで見ないで」のアナウンスが止まらなかった。「オーディションで出れなかった10以上のバンドの分も！」とカシ（Gt./Vo.）は言っていたが、このバンドでオーディション枠なんです。関西のライブハウスシーン面白すぎるだろ！​ 

​​『No.26』では＜夢にまで見たあの日がどれだけ遠くにあろうとも終わらせたくないから＞とシンガロング。カシも最後「来年は実力で帰ってくる」と伝えたが、このバンドなら、このバンドとなら夢は現実にできる。​ 

③Liver Shot

​​関西の10代アーティストに絞ったオーディション「悪魔の子供2025」を勝ち抜いた滋賀のLiver Shot。十代白書でも準グランプリを獲得している注目の新星だ。​ 

​​大きな拍手に応えながら登場し『スピルトミルク』からスタート。西堀旬(Gt)を筆頭に初っ端からアグレッシブに無骨さのあるロックンロールを神戸の朝に響かせる。私は十代白書と悪魔の子供オーディションも見ているが、我孫子敦生(Vo./Gt.)の振る舞いはその時よりも自信を感じる。しっかり会場のボルテージを上げ、ゆったりとした入りから『Over』へ。岡本悠良（Ba.）、阪口光羽馬（Dr.）から生まれる、思わず体を揺らしてしまうビートが空間を包んだ。​ 

​​MCで「僕たちの音聴いて、目覚ましちゃってください。よろしくお願いします！」と我孫子が話し『リロード』に入ると、4人の動きもさらに勢いを増す。集まった人のクラップの音も一段と大きくなり、西堀のギターソロで沸き立つシーンも。そして1出演者として募金のお願いをし、「またどこかでお会いしましょう！」と伝え『Take you on』へ。今のこのバンドを支えるキラーチューンだが、この日でまた1つ成長したのが、観客の躍動するリアクションからも伝わった。関西ライブハウスシーンの新たな弾丸、Liver Shotを今後も見逃すな。​ 

④TЯicKY

​​150組以上がエントリーしたBattle de eggソロ部門を勝ち抜いて出演を決めたTЯicKY。カミコベにトリ様が降臨。ペンライトも多数で迎えられた。​ 

​​「お手を拝借！」とフロアと一緒に踊るナンバー『JAPANESE 女の子』からスタート。一体感を生み出し、早くもワンマンライブの様相。次の『牛乳飲もうよ』が始まる時には前に詰める必要があるほど人が集まっており、盛り上がりはモリモリ上がっていく。そんな中ステージで飲む牛乳美味しそう。​ 

​​MCでお決まりのやり取りを行い「フェスに似合うカッコいい曲」と『秘密の待ち合わせ〜ワタシノクロニクル〜』を披露。センチさもあるナンバーだが、「もっと声出せるでしょ！」と会場を煽って盛り上げることも忘れない。​ 

​​最後に「来年もTЯicKY見たい人？」と聞くと、満場一致で手が上がる(証拠もある)。ただこのフェスに出るにあたって震災のことを調べたというTЯicKYの言葉を聞いたら、本当に出てほしいと思った。そして「この曲をフェスでやる日が来るとは！」と代表曲『シャンプー☆プロカリテ』を感激のパフォーマンス。激しいビートにフロアも含め振り乱されるサラサラ髪。この世で唯一のシャンプーソロも炸裂した。そして最後はキュートでハードな『詐欺ってごめん』で終了。インパクトだけでなく実力も示した25分だった。 

⑤Parallel Frank

Battle de eggバンド部門の覇者は大阪を拠点に活動するエレクトロポップROCKバンドParallel Frank。「お待たせしました！大阪のParallel Frank始めさせていただきまーす！楽しもうぜ！」とK.T（Vo.）が伝え『TRAVELER』からスタート。そのメロディと堂々としたK.Tの煽りがクラップを誘発し、サビではタオルをブンブン振り回す！トッパー1曲目から容赦ない。しかし「まだ体があったまってないと思うんですよね。太陽に負けてちゃまだまだなんですわ！」とその名の通りのダンスチューン『dance‼︎dance‼︎』を続ける！手を上下させる振り付けで会場の一体感と熱気がさらに上がったし、良い笑顔も、フロアからの声量も右肩上がりで増えた。 

​​『ヒットマン』ではエレクトロロックの1つの真骨頂とも言えるであろう変幻自在なサウンドメイクを見せる。どこか祭囃子のようにも聴こえ、野外ロックフェスにマッチする。ひろき（Gt.）の”最強のギターソロ”も見事に決まった。そしてお客さん、スタッフに感謝を伝え「俺らの心の中にあるものを全部あなたの目を見て言葉で伝えていきます！」と力強く伝え『スターチス』へ。Parallel Frankから最大級の愛を送るこの曲に、カミコベも大きな愛で返していた。​ 

​​早朝のメインステージで愛のぶつかり合いをいきなり見せたParallel Frankに大きな拍手が送られた。​