アーティストを発掘し、早耳音楽リスナーにレコメンドするEggs主催のライブイベント『EggsレコメンライブVol.24』が、6月18日に下北沢DaisyBarで開催された。出演は、小佐野 航(ex. wata)、コヨリ、KAMO、花酔い(出演順)。YouTubeのEggsチャンネルで無料生配信も行われた、個性溢れる4組のステージの模様をレポートする。
10代ならではの葛藤をステージにぶつけた小佐野 航(オサノ ワタル)(ex. wata)

先陣を切ったのは、2025年3月に高校を卒業した山梨出身のシンガーソングライター、小佐野 航だ。定刻になると、ハンドマイクの小佐野とサポートドラマーがステージに登場。ドラムの生音以外のサウンドは打ち込みのようだ。10代後半の葛藤を綴った「After 17」で「みんなと歌いたい」とオーディエンスに呼びかける小佐野。ロックやヒップホップから影響を受けたメロウなラスサビで、オーディエンスはステージへ歌声を届けた。続く「ストロベリームーン」「君と夏の三角形」では、エフェクトのかかったボーカルで感情を込めて恋愛ソングを歌う。「大切な人と過ごした時間は綺麗に写るけど、フラッシュみたいに一瞬。俺は今日この時間が一瞬の“フラッシュナイト”になるように次の曲を歌いたいと思います」と述べた後、「Flash Night」を披露。どこか切なさを帯びた歌声で丁寧に言葉を紡いでいく。ラストとなった最新曲「ブレーキランプ」では、フロアから幾つものオーディエンスのハンズアップが打ち上がった。
setlist
- 01. After 17
- 02. ストロベリームーン
- 03. 君と夏の三角形
- 04. Flash Night
- 05. ブレーキランプ
パワフルかつチャーミングなステージでボルテージを高めたコヨリ

コヨリは2024年に結成された東京発の3ピースガールズバンド。オーディエンスに挨拶をし、朗らかなアップチューン「タイムスリップマシーン」を披露。3ピースのシンプルな編成であるが、パワフルなバンドサウンドに加え、エネルギッシュでチャーミングなボーカルが耳心地よく場内に広がる。続くミディアムナンバー「ナツノヨ」でしっとり聴かせた後は、元気ハツラツな「おにぎり」でフロアのボルテージを高めていく。「Eggsさん、(サービス開始)10周年ということでおめでとうございます!」と祝いの言葉を伝えた後、軽快なリズムを刻む新曲「ジグソー」をプレイ。「カンパイ」では、「私達とみんなとで歌って完成する曲だから、声を貸してくれますか?」と呼びかけ、サビの<とりあえずカンパ〜イ>でオーディエンスと祝杯をあげる。最後は疾走感ある「おまじない」で、歌い出しから大きなハンズクラップが場内に響き渡った。
setlist
- 01. タイムスリップマシーン
- 02. ナツノヨ
- 03. おにぎり
- 04. ジグソー
- 05. カンパイ
- 06. おまじない️
バズり曲「越冬」でリスナーの魂を揺さぶるKAMO(カモ)

神奈川県川崎市発の3ピースバンド、KAMO。スタートから「越冬」「愛の刺青」と立て続けに壮大なミディアムナンバーを披露。「越冬」はTikTok合計30万回再生超えのバズり曲で、元恋人への断ち切れない思いを綴った歌詞と、哀愁漂うメロディが心の琴線を揺さぶる楽曲だ。観客が頭2曲の余韻に浸るなか、「KAMOです、どうぞよろしくお願いしま〜す!」と陽気なご挨拶で静寂を打ち破る。軽快なギターのカッティングから始まる「Lazy day」で弾みをつけると、スピーディーなビートが爽快な「シュガースポット」で、オーディエンスのハンズクラップが響いた。フロントマンの2人はステージ前に踊り出たり、頭上で手拍子をしたりして、オーディエンスを煽りながらフロアの熱気をヒートアップさせていく。ラストは本公演から1週間後に配信リリースを控えた新曲「あたしはチャペルの夢をみる」。明朗なサウンドが心地よい楽曲だ。高々と掲げられたオーディエンスのハンズアップに鼓舞されたかのように、3人は輪になって元気よくフィニッシュした。
setlist
- 01. 越冬
- 02. 愛の刺青
- 03. Lazy day
- 04. シュガースポット
- 05. いい女だから
- 06. あたしはチャペルの夢をみる
圧倒的な世界観でオーディエンスを魅了した花酔い(ハナヨイ)

トリを飾るのは東京発の3ピースガールズバンド、花酔いだ。サポートキーボードとともにステージに登場した3人は真っ白なワンピースをまとい、ドールのように無表情のまま観客に向かって深々と一礼。インストゥルメンタル曲「prelude」、クリアな歌声が響く「ノスタルジア」と続けて、リバーブやディレイのかかった浮遊感のあるサウンドを鳴らし、オーディエンスを花酔いワールドに惹き込んでいく。一転、ロックチューン「バイカオウレン」では、エッジの効いたサウンドとアンニュイな地声を響かせ、場内をアグレッシブな空気に染め変えた。凛としたベルの音色にアレンジされたイントロでスタートした「膝栗毛」は、YouTubeのMUSIC VIDEO再生数が1万回を超えた人気曲。中毒性のあるリズミカルなサウンドに身をゆだねたオーディエンスは、思い思いにリズムにのりながら楽しんでいる様子だ。終始、サイケデリックで幻想的なパフォーマンスとサウンドで魅了した花酔い。圧倒的な世界観を作り上げ、この日の夜を華々しく彩った。
setlist
- 01. prelude
- 02. ノスタルジア
- 03. バイカオウレン
- 04. 宝石
- 05. 膝栗毛
- 06. ゆらぎ
- 07. 春眠
駆け足でやって来た真夏の暑さの厳しい1日となったこの日。多種多様な4組が存分にポテンシャルを発揮し、早耳リスナーとともに熱い夜を駆け抜けた。次回の『Eggsレコメンライブ』は、本レポートをご覧になっている皆さんも早耳リスナーとして熱い夜を体験していただきたい。
