『Eggsレコメンライブ Vol.23』の熱気に満ちた一夜をレポート
アーティストを発掘し、早耳音楽リスナーにレコメンドするEggs主催の定期ライブイベント『Eggsレコメンライブ Vol.23』が、2025年4月22日(火)下北沢近松で開催された。YouTube生配信も行われたこの日のイベントの模様をお届けする。
トッパーとしてハッピーな空間を作り上げたivory PIGEON(アイボリーピジョン)
トッパーは、"みんなで歌えるロックを"を掲げる埼玉出身の3ピースロックバンド、ivory PIGEONだ。「あなたの胸の中に1番大きい音で響きますように!」と叫び、「青春lovers」を披露。軽快なバンドサウンドでオーディエンスのハンズアップを誘う。疾走感あふれるパンキッシュな「もう一歩」、自虐と葛藤を描いた「潰れロック」を立て続けに披露し、フロアの熱を高めていく。「バンドを始めた高校3年生の時には想像できなかった熱い人たちに出会えて、熱いライブができています!」と、ここまで笑顔でパフォーマンスをするともろー(Vo./Gt.)が喜びを述べ、高3で初めて作った曲だという「regret」へ。ラストの「音楽を楽しむために作った」という「ペトリコール」では、オーディエンスとのシンガロングでハッピーな一空間を作り上げた。

setlist
- 01. 青春lovers
- 02. もう一歩
- 03. 潰れロック
- 04. regret
- 05. ペトリコール
楽曲の振り幅でポテンシャルを見せた!mill meals(ミルミールズ)
2024年1月に結成された東京発の4ピースロックバンド、mill meals。ステージに登場した彼らは「mill mealsです。よろしくお願いします!」とご挨拶。1曲目は、Music VideoのYouTube再生数が2万回を超えた(2025年4月22日現在)「何者でも無いけど独占させて」。のっけからアップチューンを繰り出し、オーディエンスは縦ノリでハンズアップする。「僕達は3曲、Eggsさんで音源を配信しているので聴いてくれたら嬉しいなと思います」と、mill mealsは初めて出会う観客に向けてメッセージを送った。軽快でメロディアスなナンバーが続く中、「レコードに生きてる」はロックンロール色の濃いサウンドで、彼らの楽曲の振り幅のポテンシャルを感じるものだった。ラストの「揺らいで」は再びアップチューンへ。軽やかなサウンドでフロアのエネルギーをさらに引き上げていった。

setlist
- 01. 何者でも無いけど独占させて
- 02. 憂鬱日和
- 03. リッケンバッカー
- 04. 溺愛
- 05. レコードに生きてる
- 06. 揺らいで
観客のハンズクラップを誘い一体感を高めたPURPLE BUBBLE(パープルバブル)
2025年2月に「ナツメグ」がバイラルヒットとなった4ピースロックバンド、PURPLE BUBBLE。フロアの最前列にPURPLE BUBBLEのロゴタオルを肩にかけた観客達が待ちわびる中、メンバーがステージに登場。「みんなでいいライブにしようね!」という言葉の後、「揺れ動く世界」から3曲続けてアップチューンを披露。オーディエンスのハンズクラップを巻き起こして一体感を高めていく。「みんなでいいライブを作りたいので、声出しタイムいきます!」とオーディエンスと<ラ〜ラ〜ラ〜>でコール&レスポンスを。ミディアムチューン「愛の天秤」のラスサビで、<ラ〜ラ〜ラ〜>の大合唱が響き渡った。「僕らのライブを、みなさんの生活の中のオアシスにしてほしい。いつか味わった後悔も、いずれあなたの無駄にはなりません」と自分達の想いを述べ、「みなさんの人生に幸せのスパイスを贈ります」と、キラーチューン「ナツメグ」をプレイ。熱気みなぎるフロアから大きな歓声を受け、4人はステージを後にした。

setlist
- 01. 揺れ動く世界
- 02. クラルテ
- 03. ノープラン
- 04. 愛の天秤
- 05. dot city
- 06. ナツメグ
スキルフルな演奏でオーディエンスを惹きつけたMugCity(マグシティ)
2025年1月に結成された東京を拠点に活動する男女4ピースバンド、MugCity。1曲目は「ブルーノート」。滑らかにうねるギター、小躍りするように弾むベースライン、リズムをしっかり刻む骨太なドラミング、そして瑞々しく突き抜ける歌声。どれもクオリティが高く、MugCity結成以前から、それぞれが音楽と真摯に向き合ってきたことが窺える。「今年の2月6日は、ここ近松で初ライブだったので、とても思い入れのあるハコで演奏ができて嬉しいです。みんなで盛り上がったり切ない気持ちになったりして、一緒に音楽を楽しめたらなと思います」とオーディエンスに心情を伝えた。ラストは「前を向くきっかけにしてくれたら」と、辛い経験をした人達へ向けた「アイシャドウもマスカラも」を。切なさと疾走感あふれるサウンドで、初見の多いオーディエンスを十分に惹きつけたステージだった。

setlist
- 01. ブルーノート
- 02. 熱中症ロマンス
- 03. 相性じゃなくて
- 04. アイシャドウもマスカラも
トリを務めたポコメッツは、詩的なMCやスピードチューンでフロアを魅了した!
トリは、東京を拠点に活動する男女4ピースバンド、ポコメッツだ。ステージに登場すると、愚者(Vo./Gt.)はハーフパンツに裸足という出で立ちで、ナつキ(Gt.)は左右の頬骨のあたりから一直線に赤のフェイスペイントを施している。そんな見た目とは裏腹に、1曲目の「マイチルドフィール」は哀愁漂うギターの音色と歌声でしっとりスタートした。「あきれるほどに夕焼けを含んだ瞳も、背中も、全然一個も色褪せることがなくて鮮血みたいな赤のままでいるんです。戒めも、呪いも、全部に愛を込めて歌います」という詩的なMCの後に披露されたのは、「赫」。愚者が煽りを入れると、オーディエンスは頭上で左右に大きく腕を振り応戦する。ラストソングは「傷ついた女の子たちも男の子たちも抱きしめる曲」という「ちひろチャン」。頭からスピード感あふれるサウンドを響かせフィニッシュすると、より一層ヒートアップした場内から大きな拍手が沸き起こった。

setlist
- 01. マイチルドフィール
- 02. 赫
- 03. ぼいぜんがーる
- 04. ちひろチャン
終演後、下北沢近松の物販エリアでは、出演バンドと観客が笑顔で交流する姿が。誰も彼もが頬を紅潮させ、熱気冷めやらぬ様子だ。素敵な音楽や人々と出会い、思う存分楽しんだ後は、きっとそれぞれの胸に小さな宝物を抱えて帰路についたに違いない。
執筆・取材:橋本恵理子
撮影:佐藤 薫