大阪発のMonomi twins。「yura yura」発表!余白で作り出す浮遊感。見事なサウンドスケープ 

大阪発のMonomi twins。「yura yura」発表!余白で作り出す浮遊感。見事なサウンドスケープ 

2025/04/11

大阪を拠点に活動するMonomi twins(モノミツインズ)。洒脱なメロディー、D.I.Y.感覚を大切にしたバンドアンサンブルが特徴だ。そして音楽性がとても幅広い。ネオアコースティックやアノラックなどに通ずるアコースティックサウンドの良さを活かしたサウンドメイクをしながら、ドリームポップやマッドチェスター、カントリーロックを彷彿させるサウンドを軽快に繰り出してくる。洒脱で軽快なメロディーも印象的で、令和のシティポップの趣きも備えている。伊藤亮将(Vo./Gt.)のたゆたうようなボーカルアプローチも、流麗なサウンドスケープを見せる楽曲とばっちりはまっており、どの曲もじつに上質なポップスだ。2025年3月にEggsで発表された「yura yura」は、このバンドの多彩なルーツに対する咀嚼力の高さを物語っている1曲と言える。 

シューゲイザーを思わせるディストーションギターから幕を上げるミディアムナンバー「yura yura」は、浮遊感あるサウンド、緻密なサウンドレイヤー、ポップなメロディーと、ドリームポップの王道を随所に踏襲しながらも、コントラストのあるアレンジで丁寧に音像を描いていく1曲。そこからメンバーの様々なルーツが絡み合って展開していく。ギターのやわらかなストローク、シンプルだがバックビートを大切にしたリズムセクション、サビの<ゆらゆらゆら>に重なってくる小田美沙希(Vo./Ba.)の浮遊感ある歌声など、どの要素をとってもそこに在るべき音が鳴っている。余計な音を入れていない分、それぞれの楽器の音色や歌声がくっきり浮かび上がってきて、楽曲の輪郭を鮮明に映し出している。その余白を使って、サウンドのスケールがクレッシェンドをかけ徐々に広がっていくところもニクイ。シューゲイザーからの派生で生まれたドリームポップは、ささやくようなボーカルが特徴のひとつでもあるが、その空気感を壊さずしっかり歌を前に出してきているのが素晴らしい。これは各メンバーのアレンジセンスも一因だと思うが、メロディーが非常に強い証拠だと考える。このメロディーの強さ、メロディーの良さこそ、このバンドの最大の魅力であり強力な武器だと思う。 

歌詞にも注目したい。4つのフレーズを繰り返していくという、かなり大胆な構成だが、曲のタイトル「yura yura」と呼応するように、どのフレーズにも「ゆ」が入っている。4つのうち3つはフレーズの頭を「ゆ」にして、韻を踏んでいる。技あり! な歌詞だが、フレーズが少ない分、<ゆらゆらゆら>というワンフレーズがしっかりパンチラインになっていると同時に、同じフレーズをループすることで中毒性も高い。男女ツインボーカルがお同じメロディーを歌うところが何カ所かあるが、ユニゾンかハーモニーかが一聴ではわからないほど絶妙で(フレーズの一音だけハーモニーに聴こえたりする)、思わず聴覚が全振りになってしまう瞬間も。「したやられた!」(もちろんいい意味です)と思ってしまうくらい、楽曲のクオリティーが高すぎです! 

 

文・伊藤亜希 

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この記事を書いた人

伊藤亜希

音楽ライター/編集者。学生時代から音楽雑誌に勤務後、アーティストのFCサイトの立ち上げ・運営などを経験。現在はフリーランス。『RealSound』『MUSICA』、FC会報、FCサイト等で執筆中。『Eggs』は未知の音楽に触れられ楽しいです!

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