Eggs先行配信「ブルーノート」。約1週間の再生回数の多さでわかる注目度
Mug City(マグシティ)は、2025年1月から東京都内を拠点に活動を開始した4ピースバンドである。メンバーは、結衣(Vo.)、星野悠吾(Gt.)、橋本奈樹(Ba.)、吉澤玲旺(Dr.)の4人。ソリッドで表情豊かなバンドアンサンブルと、ボーカル結衣のどこか刹那を感じる切実なボーカルが聴く者の感情を揺さぶる。
初音源は、同年2月にデジタルリリースした「ブルーノート/相性じゃなくて」。リリース前の1月31日にはEggsで「ブルーノート」の先行配信をスタートさせている。本曲は、先行配信開始から約10日で再生数が2500回を超えており、この結果から、インディーズシーンの早耳リスナーの間で既に注目バンドであることが窺える。
「ブルーノート」をエモーショナルに響かせる2つのコントラスト
躍動感あふれるアップチューン「ブルーノート」は、キャッチーなメロディーの宝庫だ。タイトなフレーズで構成された各ブロックのメロディーは、どこを切り取ってもスッと聴く者の心に入ってくるような親しみやすさがある。バンドアンサンブルも、メロディーを活かしたアレンジに徹しているが、イントロ、間奏、アウトロなどで、個々のスキルの高さがわかるダイナミックで息の合ったバンドアンサンブルを見せている。
アレンジでは、音数の緩急も大胆で、そのコントラストが効果的に使われており、サウンドそのもののストーリー性も十分だ。各楽器の音を追って聴くと、クリアにミキシングされている一方で、アナログ感を残すことで、バンドアンサンブルに包容力と温かさを加えている。感情豊かな結衣の歌声もいい。声をわずかに震えるように出す独特の発声法が特徴。そこが曲全体の揺らぎにも通じており、楽曲全体をエモーショナルにしている。加えて、高音でクレッシェンドをかけ、力強くトーンを伸ばすアプローチを見せるなど、ボーカルにもコントラストがあり、聴く者を飽きさせない1曲に仕上がっている。
歌詞にも触れたい。スタルジックな情景、時間の流れと変化、再会への願望をシンプルな言葉で綴った歌詞は、人間にとって永遠のテーマである“出会い”と“別れ”を、視点を変えながら物語として表現している。
文・伊藤亜希