3月21日にGORILLA HALL OSAKAにてハンゲキフェス2025が開催された。
「シゲキのない”当たり前の日常”をひっくり返す」をコンセプトに2022年から学生が主体となって運営している本イベントにはConton Candyやネクライトーキーといった大型フェスでも活躍する出演者が名を連ねている。
このハンゲキフェス出演をかけたオーディションが今年も行われ、多数の応募から選ばれた5組で争う1月19日の最終ライブ審査を勝ち上がり、夕方と猫がハンゲキフェス本編へ出演した。
本稿では夕方と猫のハンゲキフェスでのライブレポートと、ミニインタビューをお送りする。
史上最大の侵略大作戦
バンド史上最大規模の中でも、お馴染みの怪しげで混沌としたSEは、ゴリラホールという大きな会場の照明と共に鳴り響くと、さらにこれからの期待感を高めさせた。
4人で音を鳴らし始め、イントロの中、秋宗亮太朗(Vo.Gt)が「夕方と猫始めます!」と叫ぶ頃には既に起こっていた会場からのクラップ。そして「オープニングアクトのバンドが一番カッコいいという反撃を起こしにやってきた!」と一層声を張り上げ、『革命ランデブー』からスタート。小木曽真裕(Ba)もどんどん前に出るなど、1曲目からバンド史上最大キャパでのライブと感じさせないアグレッシブなプレイを見せる4人。それにつられるようにフロアの上げる拳の数も、曲中の掛け声や「ラッタラタラ タララタララー」の声もどんどん増していく。そのまま激しい繋ぎから『どうしたらいい?』へ。不規則に照らす紫と緑の照明が曲のダウナー感をさらに演出する。秋宗の畳み掛ける歌唱だけでなく、身振り手振りでも目を引き付けた。


MCでは前の方へ詰めるアナウンスが必要なくらい集まったフロアへ感謝し、「ゴリラホール盛り上がってますかー!」のコールアンドレスポンスを行い、その返ってきた大音量に感激する秋宗と小木曽。そして出演の経緯を話し「このハンゲキフェスに予選オーディションがあって、オープニングアクトがあることにすごく意味を感じています。俺たちは今日下剋上をしに来たんですよ。オープニングアクトのバンドが一番カッコいいライブをしたら最高なんじゃないかと思って、今日ここに立っています。ハンゲキフェスのトッパーであって、大トリやってやろうと思ってます」と宣言。そして「次の曲はみんなでジャンプする曲なんですけど、ゴリラホールジャンプできますか!一番ヤバい特大ジャンプを見せてください。揺らしてください!」と伝え、オカルティックなダンスナンバー『キテレツ』をスタート。サビは八木遥香(Dr)のコーラスも良い味を出していて中毒性があり、秋宗、小木曽、佐野久志(Gt)のフロント3人に合わせて会場もジャンプする。しかし秋宗は「そんなもんか!」と煽ると、ラスサビではさらに何かに取り憑かれたかのように一層激しく会場を揺らした。



秋宗が「ありがとう」と伝え、会場から拍手が起こったのも束の間、八木の力強いドラムソロが始まり、そこにサイレンとアナウンスの音が混じり合って鳴り響く。そのカオスさが高まったところで「バーカになっちゃいな」と秋宗が静かに呟いて『バカになっちゃいな』をスタート。この曲で会場全体が真っ赤に染まった時間は間違いなく本日のハイライトの1つ。そこに佐野の絡み付くようなギターもあって、これはもはや音の洗脳。ただたしかに解放感もあって、危険な心地よさを感じさせた。
最後のMCで秋宗は「ここに立つまでトントン拍子じゃなかった。普通に出演した方がカッコいいとも思ったよ。でも俺の人生も全然トントン拍子じゃなかった。その絶望や苦しみの先に音楽があって、それを知れたからこそ音楽の輝きを知れたと思うし、あなたの苦しみを分かる人間になれたと思うし、届けたい言葉がある人生になった。だから俺はこの人生で良かったと思う。まぁ次はハンゲキフェス本編に呼ばれるバンドになりたいって思ってますけど、今日は今日とて一番カッコいいライブをやって帰りたいと思います。マジであなたの日常を引っくり返したいと思ってるんですよ。あなたの心に夕方と猫っていうバンドを刻んで、反撃の狼煙を上げて帰りたいと思います」と話し、最後の曲のイントロが始まる。そして「さぁ俺たちの革命を!侵略を!反撃を!あんたの日常を彩る日常侵略を」と伝え『日常侵略』へ。最後まで小木曽は前に出てベースを響かせ、佐野のギターソロも決まる。八木も笑顔で力強く爽快な音を出し、何よりフロアがこの日一番のクラップと<バーイ>のハンズアップで会場を埋めた。誰が見ても”ゴリラホール侵略完了”の景色を作り、「苦しくなったら会いに来いよ!」と秋宗が最後に伝え、ライブは終了した。
setlist
- 01. 革命ランデブー
- 02. どうしたらいい?
- 03. キテレツ
- 04. バカになっちゃいな
- 05. 日常侵略
<終演後インタビュー>
ーー 遊津場(以下、津):バンド史上最大キャパ会場でのライブはいかがでしたか?
秋宗亮太朗(Vo。以下、秋):デカかったすね!広かった…。その中で正直お客さんがどれだけ来るかなと思っていたんですけど、本当に後ろの方までいて、普通に緊張しましたね笑。
ーー 津:最初からお客さんが沢山いましたからね。
一同:本当に嬉しいです。
小木曽真裕(Ba。以下、小):出た時は緊張したけど、音鳴らしたらめっちゃ楽しかったです。
八木遥香(Dr。以下、八):お客さんの顔も見えました。
小:(ステージが)高かったから?
八:高かったから笑
ーー 津:たしかにドラムがよく見えて「めっちゃ髪なびいてる!」と思って見てました笑。今回はオーディションを勝ち抜いての出演で、しかも最終審査で競ったバンドは普段からライブハウスで一緒にやっている同年代の仲間達でした。 そういったところも踏まえ、出演が決まった時はどう思いましたか?
秋:本当にどのバンドもカッコよくて、その中で出演できたことが誇らしく思ったし、昨日も(最終審査で一緒だった)らくガキと同じサーキットフェスに出演してたんですけど、出番前にも関わらず全員見に来てくれてて。やっぱり出演が決まって嬉しいし、もちろん頑張ろうと思ったんですけど、少し罪悪感のようなものもあって。でも昨日わざわざ「めっちゃ良かった。明日も夕猫は良いライブしてくれると思ったわ」と言ってくれたり、ボーカルの佑樹からもDMがが来たりして、他のバンドの気持ちも背負っていることを改めて実感して、そういう気持ちを持ってステージに立てたかなと思います。
小:フィラメントもGroggy-Froggyもカニバルも全バンドメッセージくれましたね。 良い仲間を持ったと思います。
ーー 津:今日はその後も全組見ていたと思うんですけど、特に刺さったなという共演者はいましたか?
佐野久志(Gt。以下、佐):バンドとしてはネクライトーキーですね。学生の頃から聴いてました。
ーー 津:たしかに親和性を感じます。メンバーと話したりしましたか?
秋:写真撮らせていただきましたし、やっぱりライブでも刺激をいただきました。
小:終活クラブとこういう大きいところでやれたのも嬉しかったね。
秋:それもある!最近何度も一緒にライブしているから、こういうところでも一緒にできたのが嬉しかった。
ーー 津:今後の活動でのトピックは何かありますか?
秋:6月に東名阪ツアーがあります。2日に名古屋、12日に大阪があって、30日に東京で初めてのワンマンライブがあるのが、大きな動きかなと思います。
ーー 津:それでは最後に目標をお聞かせください!
秋:今日のことで言うのであれば、やっぱりゴリラホールに自分達の力で戻ってくるのと、ハンゲキフェスに今度はO.Aという形ではなくて呼ばれるようになりたいと思いました。
小:大トリやりたいです。
秋:来年のなんばHatchも出たいね!
文・遊津場
撮影:羽場 功太郎