津別電機、ミニマルな歌ものダンスミュージック「saba no misoni」をEggs先行配信!
津別電機は、北海道津別町で活動するテクノユニットだ。メンバーは自称・中年の宮田カンパニーとMAAAの2名。テクノ、テクノポップ、ハウス、アシッドハウス、エレクトロニカ、アンビエントなどの要素を取り入れた、ミニマルなダンスミュージックを繰り出す。どの楽曲もトラックにストーリーがあり、ポップミュージックとして機能させているところがお見事。サウンドシャワーの中でも埋もれないタイトなメロディーには、音階にメランコリックな趣があり、クラブミュージックの多幸感を後押ししている。面白いのは「歌」のポジションだ。音程のちょっとした揺らぎや、フレーズの入り方のディレイなどを残しており、バックトラックに比べて、歌声をあまり加工・調整していないように感じられる。ここから、歌をサウンドの1要素としてではなく、歌として聴かせようというチャレンジ精神が窺える。
ミニマルなダンスミュージック。そのスケールは北海道レベル?
2025年2月13日に発表された「saba no misoni」はEggsでのみ視聴可能だ(2月末現在)。ミニマルなリズムの組み合わせ、シンセサイザーのタイトなフレーズのループ(しかもアナログな音色でエモい!)、リズムを重視していながらも美しい起伏を見せるAメロ、サビで連呼される<saba no misoni>という言葉とメロディーのマッチング。サウンドレイヤーで生み出す奥行きあるサウンドスケープ。後半にかけて大きく広がっていくグルーヴなど、曲のどこを切ってもフロアライクなテクノ、エレクトリックなダンスミュージックだ。リバーブなどを巧みに使ったミックスで、サウンドそのものに立体感を感じさせるところも個人的にはグッとくる。突然の私事で恐縮だが、セカンドサマーオブラブからのマッドチェスターがリアタイだったものでね。ポストロックも遡ったものでね。だからそれ系が好きな人が大好物…って、それはキービジュアル(アーティスト写真?)を見ただけでわかりますよね~。情景描写優先部分と、語感優先部分が、はっきりわかれた歌詞もじつに大胆。この大胆さが曲のイメージの広がりにも抜群の効果を発揮している。北海道のスケール感で踊れ!
文・伊藤亜希