Eggsスタッフが今月の注目アーティストを選ぶ「Eggsマンスリープッシュ」!
2025年4月のマンスリープッシュアーティスト、シンガーソングライターのカミカワユウナにオンラインインタビューを行った。彼女がシンガーソングライターになった経緯とは?
今のカミカワユウナを作った、高校時代の部活動
――音楽を始めたきっかけ、経緯を教えてください。
カミカワ:私、昔は歌が下手だったんです。中学生の時によくみんなでカラオケに行ってましたけど、その時も、中学で1番下手くそみたいな音痴キャラで。本当に音痴だったんですよ(笑)。同い年ぐらいの仲の良い従妹がいて、その子がすごく歌がうまかったんです。その子の将来の夢が歌手になることだった。でも私は歌が下手くそなままだったから、こう……生まれ変わって歌うまくなったら、やりたいなくらいにしか思ってなかったんですね。
中学生になって1人で外出するようになって。いろんな場所に出歩くようになってきた時に路上ライブをしている人を見つけたんです。それで「ギター弾いて、1人で歌ってるのカッコいいな」と思った。小学1年から10年間クラシックピアノをやっていたんですけど、なんかピアノはもういいやと思っていた時期だったというのもあって、アコースティックギターを買って、自宅で歌ったりし始めたんです。この頃はまだ、遊びみたいな感覚でした。
――それが高校生になってどう変わっていったんですか?
カミカワ:私、海外の文化が好きで国際系の高校に入学したんですね。洋楽も洋画も大好きだった。その高校には洋楽と歌って踊るような……卒業した先輩たちには実際にミュージカルに出ている人もいる、部活があって、洋楽が好きって理由で入部したんです。そこで毎日毎日、先輩からこういう声の出し方でとか、ここは身体をこう使ってってアドバイスを受けながら、何時間も歌を練習していくうちに「このまま練習したら歌うまくなるんちゃうかな、もしかして自分も歌えるかもしれへんな」って思うように。部活のコンサートに向けて、1人で残って練習していた時、同級生で仲のいい子が部室の近くを通ったみたいで。扉を開けて「歌めっちゃうまくて誰かなと思ったら、カミカワでびっくりした!」って。この時「本当に歌うまくなってるんやな」って嬉しくなったのを覚えています。大学も国際系へ進学しようと思ってたけど、音楽をやりたい気持ちの方が強くて受験勉強を辞めたんですね。当時、私にとって受験勉強は成長の過程に必要なものだって思っていたんです。で、音楽をやっていくって決めて別の大学を選んで、受験勉強をしなくてよくなった。時間がすごく空いたので何かできることはないかと考えて、路上ライブをしてみようと思ったんです。
――つまり受験勉強以外で、自分が成長できることは何かと考えたってことでしょうか?
カミカワ:そうです!自分が人として成長できるものって何かなって思った時、思いついたのが路上ライブだったんです。路上ライブって勇気もいるし、いろいろな人たちに観られる。良い反応もあればそうじゃない反応もあります。そういう中で、自分の音楽、自分の歌がどう受け入れられていくのかな、それを見てみたいって思いがあったんです。本当に勇気がいりましたけど、1ヶ月後ぐらいには「路上ライブで日本を1周するぞ!」って気持ちになっていました。高校の冬休みに青春18切符を使って、九州から北海道までこう回ってきたんです。これが自分の中ではすごく大きな経験になりました。それまでも、ライブハウスに行ってステージに立っているバンドがかっこいいとか、音楽番組見てこの人たちみたいになりたいなっていうのももちろんあったけど、実際に自分が人前で歌って、周りの人たちからこういう反応が返ってきて……っていう音楽を通してコミュニケーションをとれたのがすごく楽しかった。この時、路上ライブが自分が活動していく上でのひとつの軸になりましたね。
以前とは変わってきた曲の作り方。子音を意識した言葉選び、その理由とは?
――今のカミカワユウナに通ずる音楽的ルーツを教えてください。
カミカワ:中学生の頃、ライブハウスに行き始めてIvy to Fraudulent Gameに出会って。このバンドが自分で音楽をやろうと思ったきっかけです。そこからずっと追いかけて、追いかけて……ってきて、今の自分が在る。それから、ギターを始めるきっかけになったのはSEKAI NO OWARI。それでギターを買いに行くんですけど、買ったのがアコースティックギター(笑)。楽器店の人に手が小さいからアコギは厳しいと思うよと言われつつ、でもアコギを選びました。たぶん、路上ライブをやりたいって気持ちが強かったのかな。あとは、小さい頃から家でずっと洋楽がかかっていたので、その影響がすごくあると思います。テイラー・スウィフトとかアヴリル・ラヴィーンとか好きで聴いてました。小学生の頃、夜中に放送される洋楽チャートを紹介するような番組を録画しまくって、土日になると1人でずっと見ていましたね。当時は、アメリカやイギリスのポップス、ミュージカル映画のようなちょっと壮大な音楽もいいと思ったし。物語性があって訴えかける力を持っているュージカル映画が好きでした。洋楽やミュージカル映画も自分の音楽のルーツだと思います。
――曲作りはどのように?
カミカワ:最初は日記を書いていたんです。世の中に対して思うこととか、自分の中にある鬱憤とか、自分の気持ちの中で尖った部分を書きためていたんです。そこから言葉を拾って、思想重視で曲を作っていました。これは、結構、メンタル的に落ち込むことが続いて、それでそういう曲作りになっていたから思うんです。でも、最近元気になっちゃって……なっちゃってって言い方もあれなんですけど(笑)。思想では曲が作れなくなってきた。そこからは語感を重視して、出てきたフレーズをもっと掘っていく感じです。出てきたフレーズにあった意味をなるべく深く掘り下げていくようにして、曲を作ってます。語感で選んだ言葉も韻をふんだりするだけじゃなくて、子音が強くなるような言葉を選んだり、歌う時の発音でも子音を強くしたりしてますね。洋楽を聴いていると子音が強いから、その影響を受けていると思います。
――今活動している中で最も大切にしていることを教えてください。
カミカワ:自分が「今、一番面白いな」と思える楽曲を作ることです。周りはどう思うのかとか、ちゃんと受け入れてもらえる曲になっているかなっていうのも考えはするんですけど、自分が新しいと思うか面白いと思うかの方が大事だと思っていて。そういう曲を作って、自分自身が飽きないように続けていくことが、今の私の軸だし、すごく意識して大事にしていることですね。
――自分の音楽を一言で表すとしたら?
カミカワ:うーん、難しい!(笑)ずっとあるのは、川の流れみたいなイメージで曲を作っているんですね。ライブしている時も頭の中に川が流れている感覚があって。だから「川の流れ」ですかね。
――今の目標を教えてください。
カミカワ:海外のアーティストと一緒に曲を作ったり、海外でライブをしたいですね。去年海外のライブハウスに足を運んで、出演交渉とか頑張ってたんです。その中でやっぱり初海外公演を成功させるためには、もっと日本で力つける必要だなと。日本からカミカワユウナが来るぜ! ってなって、海外ライブをするのが今の1番の目標です。
――今後の予定のトピックスを教えてください。
カミカワ:夏にリリースイベントをする予定です。このリリースとイベントに向けて、今、曲作りも頑張ってます!
取材・文/伊藤亜希